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丁寧なオンラインメンタリングと研修で
IT未経験のエンジニアを育成(SCSK株式会社)

SCSK株式会社

(公開日:2024年7月22日)

大手SIerであり、車載ソフトウェア開発を強みにモビリティ領域において事業拡大を続けるSCSK株式会社。モビリティ事業グループでは、エンジニアを積極的に採用する一方、第二新卒者の人材育成に課題を感じていたといいます。モビリティ事業グループならではの課題、トレノケートの研修がその課題解決にどう貢献したのか?モビリティ事業グループ統括本部 戦略推進部 人材戦略課の東田 将樹様、馬場 真吾様に話をうかがいました。

お客様概要

会社名:SCSK株式会社
所在地:東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント
代表者:代表取締役 執行役員 社長 當麻 隆昭
設 立:1969年10月25日
U R L : https://www.scsk.jp/

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この事例のポイント

背景と抱えていた課題

  • エンジニア不足を解消するため、初めて第二新卒のポテンシャル採用を実施した
  • 出身業界・レベル・入社時期の異なるメンバーのITスキルを、現場配属前に一定以上のレベルにそろえたい

導入したソリューション

  • eラーニングの研修とオンラインメンタリングがセットになった「伴走型メンタリングサービス」

成果

  • レベルに合わせた研修や個人に合わせたサポートにより、受講者全員が必要なレベルをクリア
  • 受講者ごとの評価レポートを通して、現場に配属される前に受講者個別の進捗や強みを把握できた
  • メンターはオンラインの仮想オフィスにいるため、細かい点まで気軽に相談ができた
  • オンラインの勉強会などを行うことで、受講者同士の助け合いやつながりが生まれた

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モビリティ事業の第二新卒者が直面する「言葉の壁」

ー お二人が所属する人材戦略課は、
  モビリティ事業グループにおいてどのような役割を担っているのでしょうか?

東田 将樹様

SCSK株式会社 モビリティ事業グループ統括本部 戦略推進部 人材戦略課 課長 東田 将樹様 ▲

東田様

モビリティ事業グループにおける採用や教育、定着といった、リソースマネジメントを推進する部署になります。教育は、「新人研修」「第二新卒者研修」「事業グループ教育」の3つに分かれ、馬場は第二新卒者向けの教育を担当しています。

SCSKはキャリア採用を事業グループ別に行っています。なかでも第二新卒者はポテンシャル採用でIT業界未経験者が多いため、IT基礎教育は欠かせません。責任を持って彼らに教育を行い、配属先に送り出すのが、私たちのミッションになります。

ー 第二新卒者向けの研修として、トレノケートの「伴走型メンタリングサービス」を活用いただきました。
  サービスを利用するにあたり、どのような課題があったのでしょうか?

馬場 真吾様

SCSK株式会社 モビリティ事業グループ統括本部 戦略推進部 人材戦略課 馬場 真吾様 ▲

馬場様

そもそもモビリティ領域のITエンジニア人材は業界全体で不足しており、私たちも同じ課題を抱えていました。そこで、2022年11月より第二新卒者向けの採用を開始しました。しかし、当時は第二新卒者向けの教育体制は整っておらず、「まずは、新卒向けの研修カリキュラムを活用しよう」と手探りの状態で始めました。

新卒は全社一括での採用のため、全社で集合研修をすることが前提になっています。一方で、第二新卒者向け採用は、通年実施されていることから、入社時期は毎月のように発生し、IT業界経験者もいれば、IT業界未経験者もいます。研修実施期間や教育コンテンツの種類、難易度をどこのレベルに設定するのか?受講者をどこまでどのようにフォローするか?など、研修が進むにつれて課題が明らかになってきました。

東田様

加えて、モビリティ事業グループならではの事情もあります。第二新卒者向けの場合、電気系や機械系の学部で学び、新卒入社時にIT業界以外で過ごした方が多いため、最初は言葉も通じなかったりするんです。

馬場様

言葉というのは、専門用語や略語のことですね。たとえば「SW」という言葉は、一般的にIT業界では「ソフトウェア」を意味する略語ですが、製造業をはじめとするメカ・ハード系領域では「スイッチ」を意味します。同じものづくりなのですが、ソフトウェア系領域とメカ・ハード系領域では、言語が異なることにより、開発プロセスや業務の進め方もまったく異なります。ITスキル以前に、モビリティ事業グループにおけるソフトウェア開発思考の概念を理解できるようにサポートすることから始めなければならないのです。

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走りながら研修内容をブラッシュアップしていった

ー 現在はどのようなスケジュールで第二新卒者向けの研修を行っているのでしょうか。

馬場様

研修期間は3カ月です。最初の1カ月はトレノケート社の「伴走型メンタリングサービス」を利用したeラーニングで、残りの2カ月はモビリティ領域に特化した当社モビリティ事業グループ独自の研修を行っています。

実施した研修の全体像

  • 1カ月目でIT業界の基礎
  • 2カ月目にC言語の研修
  • 3カ月目は自動車業界特有の「モデルベース開発」の演習

東田様

モビリティ事業グループの新人研修は、モビリティ領域に特化したカリキュラムを4カ月かけて実施しておりますが、第二新卒者向けの研修は、IT業界の基礎を含めた内容を、ぎゅっと圧縮して3カ月間で実施しています。本当はもっとやりたいことはあるのですが、第二新卒者は早く戦力になりたいでしょうし、現場もあまり長く待たせるわけにもいかないので。

東田 将樹様

東田様 ▲

馬場様

そして、もう一つ研修期間を圧縮している理由は、早くSCSKの文化に慣れてもらうためです。第二新卒者の中には、前職が「定時までに終わらなかったら残業でカバーすればいい」という文化で育った方も多いです。一方、SCSKは短期間で効率良くアウトプットを出していくワークスタイル。「うちはそうじゃないよ」と認識してもらうため最初はあえて密なスケジュールにしています。トレノケート社のメンター担当者にフォローしていただく時期も受講開始の1カ月目となります。

ー 現在の形になるまで、どのように研修の内容を整えていったのでしょうか。

馬場様

走りながら整えていったのが正直なところです。トレノケート社から提案をいただき、こちらの要望とすり合わせながら、内容をブラッシュアップさせていきました。最初に協議した内容は、eラーニングやメンタリング、勉強会など。カリキュラムの時間配分など細かい部分は、今もトレノケート社と会話を重ねながら調整しています。

そして、研修を進めていく中で、配属先の部課長より「『この人はこれくらいできた』という評価指標が欲しい」という声がありました。それを受けて受講者に対する評価表を作成しました。現在は、トレノケート社が受講者への口頭試問を行い、それを踏まえて段階的な個別評価と最後の総合評価をまとめていただいています。定性・定量的に記載されていますので、非常に助かっています。

評価シートの一部

評価シートの一部 ▲

ー 他にも、走りながら整えていったところはありますか?

馬場様

研修とは別に、「1週間の補講をやってほしい」とお願いしました。第二新卒者は、学生時代や前職でIT技術に携わった人もいれば、まったくの未経験の人もいるので、最初の1カ月はどうしても進捗および習熟度に差が出てしまうんです。ですので、課題の進捗が大幅に遅れている人がいた場合には、特別対応として1週間の補講をお願いしています。

逆に、1カ月も経たずに課題をすべて終わらせてしまう人については、新たな対応を検討しているところです。個々人のレベルに合わせた課題を出すのか、課題の難易度を何段階かに分けるのか...。ここは引き続き、トレノケート社とご相談しながら、より良い形にしていきたいと思います。

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研修終了後、未経験から基本情報技術者試験に合格

ー 第二新卒者向けの採用が始まってから、1年あまりが経ちました。
 研修の成果を感じられる場面はありますか?

東田様

この1年で、第二新卒者向けの採用は浸透してきたと感じます。最初は受入れ側も戸惑いはあったようですが、最近は3カ月の研修の成果を確認した上で、業務を調整するなど、社内の理解が深まっていると感じます。特に受講者の評価やバックグラウンドを共有すると、プロジェクト間で人材が取り合いになることもあるくらいです。

第二新卒者自身、「SCSKでリスタートを切って活躍したい」という強い想いを抱いて入ってきていますし、IT未経験から研修期間で大きく成長された方はたくさんいます。その想いを尊重しつつ、いかにモチベーションを高く保ったまま現場に送り出せるかが、私たちの使命。そこは、馬場さんが上手く仕組みを作ってくれています。

馬場様

研修初日のオリエンテーション時に私は、「この3カ月間は、自分たちで価値ある時間にしてほしい」と発信しています。仕組みの1つではありますが、研修期間中はメンバー間でリーダーを決めて日々のカリキュラム受講進捗を共有する日時進捗mtgを開催してもらっています。メンバー間で進捗の状況や理解度の共有を図ることで、1つの目的に向けてチーム内でコミュニケーションが取れますし、同期意識はもとより帰属意識も芽生えているようで、一定の効果は得られているのかな?と思っています。

また、私は元営業でもあったので、顧客と打合せをする際に必ずアイスブレイクを実施していました。それを取り入れたら面白いかもと思い、mtgの冒頭は日替わりでお話しいただいています。運営側でいろいろテーマを用意しますが、時折立派なプレゼンをする人も出てきます。しかしながら、メンバー同士楽しく意見を出し合っていますので、日時進捗mtgの趣旨からずれているなぁと思いつつも寛容な態度で見守っています(笑)。

馬場 真吾様

左から東田様、馬場様 ▲

東田様

馬場さんは研修期間が終わったあとも、よく囲まれていますよね。「馬場チルドレン」たちに。

馬場様

厳しいことしか言っていないはずなんですけどね......(笑)。

ー ぜひ、「馬場チルドレン」の皆さんの感想もうかがいたいです。

馬場様

「馬場チルドレン」は、私が担当させていただいた第二新卒者たちのことで、いつの間にかそう呼ばれていました(笑)。SCSKに入社すると、どこかのタイミングで基本情報技術者試験を受験しなければならないんですね。この試験に合格するのは、IT業界未経験者にはかなりハードルが高いと思います。でもSCSKの第二新卒者には、トレノケート社の研修が終わったあと、合格する人が結構いるんですよ。

IT未経験から、1~2カ月の勉強で合格するのはなかなかすごいことで、本人たちもとても喜んでいます。IT業界に来て最初の大きな成功体験となっているのではと思います。その試験合格方法もかつてこのカリキュラムを受講したメンバーが合格するための「メソッド」を創り出しそれを連綿と受け継いでいっているようです。これはほんの一例に過ぎませんが、今まで当事業グループに入社してきた第二新卒のメンバー同士がつながって新しい価値を生み出していく様子は非常に嬉しくてなんだか親心みたいなものが沸き上がってきます...だから「チルドレン」なのか。東田さん上手いこといいますね(笑)。

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仮想オフィスで生まれる「横のつながり」

ー 教育担当として、「伴走型メンタリングサービス」についての率直な感想をお聞かせください。

馬場様

トレノケート社の担当者から、情報提供や提案を小まめにいただけることが嬉しいですね。寄り添っていただけるからこそ、こちらも研修をどうブラッシュアップすべきか考えられるわけですから。

サービスの内容としては、オンラインでのメンタリングが大きなポイントになりました。メンター担当者と相談しながら進められる仕組みは、これからIT業界に入ってくる人たちにとって、とても心強いと思うんです。

受講者からも、「目線を合わせて話してくれる」という意見をよく聞きますね。未経験の人は「なにか質問は?」と聞かれても、そもそもなにを聞けばいいかわからないじゃないですか。そこを上手にくみ取りながら話を進めていただけているので、ありがたいです。

東田様

メンターがいるのはオンラインの仮想オフィスなので、対面よりもハードルが低く気軽に聞きにいけますしね。

馬場様

そうですね。仮想オフィスでは、受講者同士もコミュニケーションを図っているんですよ。一緒に研修を受けていると仲良くなってきて、第二新卒者でも「同期」ができる空間場になっていますね。

仮想オフィスイメージ

仮想オフィスイメージ ▲

馬場様

先日も、昨年に第二新卒者として入社した社員と会いましたが、いまだにトレノケート社の研修の話をしますよ。課題がどうしても分からなくて、他のメンバーに助けてもらいながら補講に挑んでいたみたいで。こうした横のつながりが生まれるのも、いい仕組みだなと思います。

ー 最後に、今後の課題や展望についてお聞かせください。

東田様

受講者が「すごくよかった!」と思える3カ月を過ごすために、引き続き我々にできることを思案していきたい。今後は、習熟度によって濃淡をつけるような運用も考えていきたいですね。将来的には、研修中に研修状況を配属先の現場にも共有し、OJTに役立てる仕組みを作れたらと思います。

私たちは、自らビジネスを推進できる人材を育てなければなりません。ゆくゆくは、第二新卒者の方々が中心となってお客様とビジネスを共創していけるように、しっかり土台を固めていければと考えています。

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担当者からのメッセージ

「伴走型メンタリングサービス」を担当しております小原です。SCSK株式会社モビリティ事業グループ様の研修では、企業担当や現場の方々の人材育成に対する熱量をひしひしと感じております。弊社もそれに応えるためサービスのブラッシュアップを進めてきました。SCSK株式会社モビリティ事業グループの教育ご担当者さまは、受講者と定期的にコミュニケーションをとられていました。そこへ弊社メンターからのフィードバックをすり合わせることで、より個々の状況に合った学びの機会を実現させています。

「伴走型メンタリングサービス」の立ち上げ当初は、独学するためのeラーニングに力を入れていましたが、IT未経験者と定期的にコミュニケーションをとる中で、メンタリングの重要性に気づかされました。そこで、システム内に用意したチェックテストに加え、メンターとの口頭試問 (コーディングテスト)を実施して、直に理解度を把握するようにしました。

それに加え、リアルタイムの勉強会を開催して、他の受講者の様子や疑問点なども確認できるようにしました。さらに、ご要望いただいている受講者の理解度によって濃淡をつけた学習のために、eラーニングコンテンツも拡充を続けています。

小原 隆義

◀ TRAINOCAMP推進室 小原隆義

取材・執筆=井上マサキ
撮影=小野那奈子
編集=鬼頭佳代 / ノオト

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